【麦産地の危機】
茨城県県西地域は,従来から麦生産が盛んだが,
病害の発生により,いままで作ってきた品種が
作れない圃場が増える。
病気に抵抗性をもつ品種に転換することが必要な状況に。
【ゆめかおりの育成】
2009年に育成された新品種「ゆめかおり」。
問題となっている病気に抵抗性を持つ品種で
あり,製パン性も高く,2010年に茨城県で
初のパン用小麦認定品種に採用。
【ゆめかおりの可能性】
品種になったものの,当時は「ゆめかおり」を作っている生産者はほとんどいない状態。
県西地域の麦畑の土は有機物を多く含み,品質の良い
「ゆめかおり」が作れる可能性があるため,茨城県は,麦産地の
発展のために,「ゆめかおり」を導入できないかと考える。
【初めの一歩】
県の職員から「ゆめかおり」の栽培依頼をソメノグリーンファームが受ける。収量、品質ともに良く、手ごたえを感じる。
品種として扱ってもらうための最低量の栽培に向け、生産者を
拡大する。4名の生産者が増え、合計5名で本格的に
栽培を開始する。
【製粉会社との契約】
使用していただける製粉会社を自らで訪問し、契約を結ぶ。
安心して使用してもらうために、高品質な小麦を栽培することを
約束。 良いものでも、認知されるまでは売り先が伸び悩む。
高品質な小麦を継続提供するための次の一歩を。
【茨城パン小麦栽培研究会の設立】
生産者それぞれが、高品質な小麦を栽培するためのルールや生産体系の確立のために、「茨城パン小麦栽培研究会」を設立。
製粉会社との契約の中で、安定した高いタンパク質含有率が
求められていることが分かり、契約内容に明記し、
きめ細かい栽培技術・出荷管理を研究会の標準とする。
【生産から宣伝、そして消費者へ】
生産者自ら営業活動を行い、地産地消を初めとする、顔の見える消費者への宣伝。使用店舗が少しずつ増える中、生産地の学校給食への提供が始まる。
「ゆめかおり」の良さが、製粉会社、ベーカリーやレストラン、
消費者へと広がっている手ごたえを感じる。
【契約先の増加、生産量の増加】
既存の契約先からの要望量の増加、新規契約依頼の申し出が
くる。研究会の意向にあった生産者の拡充を図り、
8名まで拡大する。 要望量に応え、かつ高タンパクを維持した
生産量増加に向け、栽培講習会や製粉会社訪問を行い細かい
要望などを調整する。
【研究会からLLP(有限責任事業組合)へ】
安定して使用してもらうためには、安定生産が絶対条件に
なるため、販売に関する業務を組織化することへ着手。
生産者の拡大や契約先の増加に対応するための次の一歩を
踏み出し始めた。